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日本人学生 × 金沢大SGU

人間としての自己を磨き,専門人としての自己を磨き,
グローバル社会で活躍する「金沢大学ブランド」の人材へ。

*One Young World 2021 Munichに参加*
人間社会環境研究科地域創造学専攻/KU-SGU Student Staff

砂子阪 将大 さん

One Young Worldは、2009年の世界経済フォーラムの年次総会(通称「ダボス会議」)をきっかけに創設された、若い次世代リーダーによる世界的な課題解決をサポートするための国際プラットフォームです。2010年から年に一度、世界190カ国以上から約2,000⼈の次世代リーダーたち(18~32歳)が集まる世界最大級のサミットを開催しています。今年は7月23日〜25日にわたりドイツ・ミュンヘンをホストシティーとしハイブリット型にて開催され、私は日本からオンラインで参加しました。

サミットは主に著名人によるスピーチと参加者同士のネットワーキングにより構成されます。スピーチのテーマは人権、難民問題、脱炭素・気候変動問題など世界が直面する課題についてです。スピーカーは世界的企業経営者、国家元首、ノーベル平和賞受賞者、活動家等であるため、実際のアクションの伴う具体的かつパッション溢れるものでした。

その中でも21歳でウェールズ最年少の地方議員となり、現在はウェールズ未来世代委員であるSophie Howe氏による“Do the Small Things (Gwnewch y Pethau Bychain): Become the Guardians of Future Generations” と名付けられたセッションが印象に残っています。Howe氏は気候変動の影響で従来育てていた穀物の栽培が不可能となり、子ども(15歳の少女)を年配の男性と結婚させることで「経済的安定」を図ったアフリカ・マラウィの農家の実話を参照するとともに、マラウィにおける児童婚のうち30〜40%は気候変動に起因するとのデータを示し「環境問題はジェンダー問題である」とスピーチしました。ジェンダー問題は男女に対する相反する価値観、不平等性、男性優位な社会構造などがその根源にある一方で、環境・貧困問題等の外的要因、さらには障害や人種、社会階層などのインターセクショナリティが、ジェンダー問題を顕在化させ、ジェンダー平等達成の妨げになっていることを改めて認識しました。逆説的に考えると環境問題にのみ焦点を置いていてもジェンダー平等は達成できないですし、ジェンダー平等が達成されても貧困問題が解決されない場合は、文化的で尊厳が守られた生活を送ることは難しいと言えます。

オンライン参加でも感じる華やかな国際会議の雰囲気と偉大なスピーカーに圧倒され、そして既に社会的影響力のある立場にある他の参加者と自分を比較すると、正直大学院生である自分の力不足を感じました。しかしながら今何か社会課題を改革する力を持っていない私でも、問題の本質を考えさせられるスピーチを聞き、労働搾取、領土争い、差別、気候変動、貧困等さまざまな社会の不条理により周辺化され困難な状況下に置かれている人々、とりわけ影響を受けやすいとされる子ども、女性、障害者等一人一人の気持ちを想像し、共感することはできます。楽しい時には楽しい、苦しい時には苦しいと私が感じるように、少なくとも感情的な部分では私と大きく異なることはないであろう「人」が一部地域では尊厳と人権が守られず、困難を抱えている状況を考えると何かしなければと感じます。側から見ると小さなことかもしれませんが、この問題意識こそが、私がさまざまな社会問題への関心を持ち通し、学域生のときから積極的に留学・海外渡航し、結果的に大学院へ進学した理由なのかもしれません。

金沢大学はグローバル社会を構成する重要な教育・研究機関でありアクターであります。金沢にいるから、日本にいるから、世界で起きている問題に無関係である、なんてことはあり得ません。大なり小なりあれど、社会に対して果たすべきミッションと役割が一人一人にあるはずです。今の自分は大海の一滴にもなりませんが、まずは研究で実績を残したいと感じたと同時に、自分はこれからどう社会に関わっていくべきかを改めて考え、努力したいと決意を新たにしたサミットでした。

(掲載日:2021年8月31日)

 

KU-SGU Student Staff

  • 参加者用デジタルプラットフォーム:講演の視聴だけでなく、他の参加者とミーティングができる機能や予約不要の雑談ルームなども備えられていた。

    参加者用デジタルプラットフォーム:講演の視聴だけでなく、他の参加者とミーティングができる機能や予約不要の雑談ルームなども備えられていた。

  • Sophie Howe氏の講演

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