MENU OPEN

あなたと金沢大SGUYOU & KU-SGU

「!」× 金沢大SGU

金沢大学の国際化,グローバル化の取り組みを行う中で, 連携は無限大。
あらゆる「!」との絆のもとに。

*KU-SGU Student Staffインタビュー企画*
名誉教授

粕谷雄一 さん

KU-SGU Student Staffインタビュー企画は、国際経験が豊富な本学教職員、学生等に学生目線でインタビューを行い、インタビュー対象者の経験や考えなどを本学学生等に広く知ってもらうことを目的としています。
第五弾では、粕谷雄一名誉教授にお話を伺いました。

 

―初めに、先生の研究内容について教えてください。

基本的には授業を受け持っている分野に関しての研究、またそれらの情報のアップデートが中心ですね。現在は文学概論、アフリカ概説という授業を受け持っていることから、大きく分けて文学とアフリカ地域に関する研究が主になっています。

先生はフランス語圏文化やフランス語に関連することをご専門にされているとお聞きしましたが、フランス語圏以外の研究もされているのですね。

もちろんです。例えば、文学概論では皆さんに紹介する為に1960年代頃までの世界の作品に関する研究をしています。今の文学の研究方法は実はフランス思想が基礎になっています。

そうだったのですね!

そうは言っても、文学を学ぶ上でフランス文学しか読まないといった考えは、これは少し違うように思います。文学を学ぶには、世界の様々な文学に目を向ける必要があります。例えばスペイン語文学などといった新興文学が発達してきており、それらが世界での存在感を増しているため、それらを無視できないような状況です。これからはアフリカ地域、アラブ地域、インドもやってくるでしょう。老舗の中国文学にも目を向けることも、もちろん大切です。広く全体を見ることで初めて「グローバル時代の文学」の完成と言えるのではないでしょうか。

新興文学などが発達しているということは、文学の種類や数はどんどん増えているのですね!世界中の文学に目を通すというのはかなり大変な作業になりそうです・・・

そうですね。ですが、全てに目を通し、熟読して理解することは、人間のキャパシティー、寿命を考えても当然不可能です。その為、一つの地域、又は分野に集中して勉強するだけではなく、広く世界の文学に触れておくことが大切だと考えています。学生の皆さんには文学概論を受講する中で、大体世界の文学はこんな感じだと広く全体に親しみ、その上で自身の興味を探ってほしいものですね。

広く触れることが大切なのですね。金沢大学の学生におすすめの一冊があれば教えて頂きたいです。

私が主に研究していたスタンダールの『赤と黒』はおすすめです。私は好きですが、好きだと感じる人が限られているようにも思います。もっとおすすめと言えば、授業でも取り上げましたが、スペインの散文詩『プラテロと私』です。詩人がプラテロというロバに話しかけるというストーリーの詩集です。生きるというのはあるがまま、これでいいのだと思わせてくれるような作品です。

先生がご専門にされているフランスの文化に興味を持たれたきっかけを教えてください。

初めは文化よりも言葉に興味を持ちましたね。高校生の頃に一年間聴いていたラジオのフランス語講座がきっかけだった気がします。英語以外にもできる言語が欲しいなと思ったことも一つですね。当時第二外国語としてはドイツ語の方がポピュラーでしたが、話している人の数が多く、多くの国際機関でも公用語として使用されているフランス語を選びました。

言語に興味を持たれたのが初めなのですね。言語は覚えることも多く、習得や勉強が大変というイメージがあります。そのような中で先生が思われる言語の魅力とは何でしょうか?

やはりある程度勉強した上で、伝わった!話している内容が分かった!と感じる場面ですね。何とも言えない達成感を感じます。それと、言語を通してそれぞれの国によって物事の捉え方に違いがあると感じる瞬間も面白いですね。昔見たミニコミ誌の中で、フランス人のいい所は物事を深刻に考えすぎない、一般的に気にしすぎないことだと答えているフランス在住の日本人がいました。個人差はあるといえども、この意見には大いに賛同したのを覚えています。こういった物事を捉える姿勢が言葉やコミュニケーションにも表れているように感じます。

言語を勉強していると人の考え方まで深く学ぶことができるのですね。

そうですね。一口に感じがいいといっても言語によってどういうものが「感じがいい」というのかは違ってきます。一人一人個人差があれども、同じ社会で生活しているということは、一つの社会の中で「感じがいい」という認識にそれなりの共通性があるということです。そういったピッタリ訳せない感覚、その言語のみがもつニュアンスを学べることも言語学習の魅力の一つです!

言語を学習する上で、先生が大切だと考えられていることはどういったことですか?

一つは理屈を考えずに頭に「べちゃっ」と覚えること、もう一つは理屈を考える文法です。言語学習をしているとどうしてもどちらかに偏ってしまいがちです。しかし、言語を学習する上でこの二つの力はどちらも非常に大切です。リスニングをするにしても、じっくり音声を聞くこと、ボーっと音だけを聞くこと、両方やってみて下さい。音だけをボーっと聞くことは意味がないように思うかもしれませんが、必ず頭のどこかに残ります。こればっかりでは簡単なことしか言えないようになってしまいますから、どれが主語でどれが述語なのかなどを考えてじっくり聞くことを合わせてやってみるのが一番です。

アフリカ地域に関する研究についてもお聞きしたいです!

大学に誰も研究している人がいなかったから研究してみようと思ったことも一つですが、アフリカ地域に興味を持った始まりは音楽です。ある時、アルジェリア音楽に出会い、これがとても気に入りました。そこから、この国はどうなっているのだろうと思うようになりました。当時のアルジェリアでは、イスラム原理主義によるテロが盛んに起こっており、音楽にも明日の生死がかかった力強さが表れていた気がします。このように、アフリカ地域について研究していた所、偶然アフリカ地域に関する授業を持ってくれないかというお話をある先生から頂き、現在のアフリカ概説に繋がったというわけです。

粕谷先生は「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」というワールドミュージックの祭典イベント(※)にもかかわっていらっしゃるとお聞きしました。ワールドミュージックに興味を持たれたきっかけは何ですか?

小さい頃から音楽が好きでした。小さい頃、家に電気蓄音機があり父がいくつかレコードを持っていました。それを聞いたりしていたものです。ロックやアメリカポップス、イギリスポップスが流行った時代もありましたが、1970年頃には一旦それらの流行が山を超えたように思います。そこからは、アメリカの外はどうなっているのだろうか?と世界の音楽に目を向ける者が現れるようになってきたのです。私もその一人でした。そこからワールドミュージックに自ら触れていくことでアルジェリア音楽と出会いました。ライと呼ばれるアルジェリア音楽には、アルジェリア社会の裏面を映した切ないものもあり、今でも大好きな音楽の一つです。

※スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド:1991年から富山県南砺市で毎年開催されているアフリカ・アジア・中南米のミュージシャンを中心とした日本最大規模のワールドミュージックフェスティバル

ABOUT US | スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド|SUKIYAKI MEETS THE WORLD (sukiyakifes.jp)

実際に「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」の活動に関わられるようになったきっかけはどういったものだったのですか?

一度訪れた際にこれはいいイベントだと思ったことがきっかけです。アフリカは音楽に非常に強い地域で、ワールドミュージックにおいてアフリカ出身のアーティストさんは沢山いらっしゃいます。とにかくノリがよく、アフリカのアーティストさんに任せておけば会場が盛り上がりますよ。そこで、アフリカ地域や、カナダの一部の地域など、フランス語圏からやって来るアーティストさんの通訳やワークショップの司会にフランス語が話せる人が必要だとなるわけです。こういうことで、この「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」の実施に携わっておられる方から通訳などを依頼され、関わるようになりました。特定の地域の音楽の紹介やワークショップを受け持つこともあります。通訳や司会のお仕事は金沢大学からボランティアとして参加してくれる学生さんにも是非経験してもらいたいものですね。音楽を通して人との繋がりを感じることができます!

そうだったのですね!「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」の活動の魅力、印象に残っている出来事などはどういったものでしょうか?

やはり、各国から来日して来るアーティストさんとの交流は魅力の一つですね。今まで聞いたこともなかった国について知ったり、その国の文化や社会を知ったりと、このイベントを通して新たに発見することも沢山あります。また、一歩踏み込んで政治的な話を話すこともあります。これはとても印象に残っていますねぇ。私が研究しているアフリカ地域に住んでいるアーティストさんの生の声を聞いて、「ああ!こんな物の見方もあったのか!」、「こんな気持ちで生きているんだなぁ」と新しい見方を学ぶ貴重な機会です。例えば、モーリタニアという国は、掘れば石油が出ると言われているそうですがその石油採掘に関して、以前の大統領はこうだったが今年の大統領はどうするかなといった具合で話をしたりもします。とても政治に詳しい方が多く、面白いですね。去年会ったアーティストさんは今年どんな風になったのかなという変化を毎年楽しみにしています。他にも、様々な地域の音楽に触れることができることも一番といっても過言ではない魅力です。コンゴで国内諸民族の音楽をしておられるジュピターさん、民族音楽ではなく、マダガスカルのテイストを持ちつつモダンな音楽を創っておられるラジェルさんなど、印象に残っているアーティストさんは切りがありません。アフリカ音楽は民族音楽ではなく、これから発展していくところだというところを授業の中にも取り入れて学生の皆さんに伝えていきたいですね。

グローバルに人との繋がりを感じられるというのはとても素敵ですね。

もちろんです。現在は新型コロナウイルスの影響もあり、私自身、実際に海外を旅行したり、現地を訪れたりする機会が少なくなりました。しかし今は、SNSやオンラインミーティングなどを通して家から世界の友達と繋がる手段は沢山あります。家は世界というような感じで生きていくことがグローバル時代の人間の生き方なのではないでしょうか。

先生が学生時代にこれはやっておけば良かったと思うことはありますか?

自身の学生時代を振り返って、やりたいと思ったことは一通りやってきたように思いますが、自分が興味を持ったことはより堀り下げてみたということでしょうか。今はネットで何でもすぐに検索することができますし、音楽に関してもネットですぐに聴けるようになりました。レコードで聴いていた時代に比べて随分便利になりましたね。あとは、小さい頃家にあった世界文学全集を少し読んでいたり、クラッシックから音楽は楽しいと知ったり、高校生の頃にフランス語を学び始めたといった環境も良かったのかなと今振り返ればそんな気もしますね。

環境も大切なのですね。先生がご自身のキャリアをお考えになられた上で、大切になさったことは何ですか?

自分に楽しくできることをやるということですね。これをしなくちゃいけないと思ったことは結局全部出来なかったように思います。私はこれしかできないけれどこれだったらやれるといったことを伸ばしていけば認めてもらえることもあります。私の場合は、楽しくできることを研究していて、それを認めてもらうことができ、現在に至るという感じです。修士の段階まで大学教授になるという考えはなく、修士が終われば別のことをしようと考えていました。しかし、修士論文を書く中で、この研究のやり方はできないけれど違うやり方なら楽しくできそうだと思い研究を続けました。非常に自分勝手かもしれませんが、ある程度は許されると思います。楽しくできることでないと長くは続きませんから、楽しくできるというのが大切だと考えています。

最後に今後の先生の夢や目標を教えて下さい。

大学を辞めたら複言語文化協会をたてたいと考えています。ここではフランス語だけでなく、様々な複言語をサポートしていきたいですね。具体的にはカナダやアフリカ地域の音楽の紹介と語学の講座をやりたいと考えています。オンラインが普及したことで、日本全国、世界から受講できるようになりました。YouTubeなどを使って講義の動画を色々な言語において提供きればと考えています。言語を学ぶということは平和とも深く関わっているように思います。例えば、ロシア語とウクライナ語はよく似ていて兄弟言語のようなものですから、これらを同時に勉強するというのはどうでしょうか。一緒にやってみれば案外いけるかもというのが私のアイディアです。私のフランス語の授業でもよく英語を説明に持ってきます。そんな風にできればと思いますね。アフリカ地域の音楽に関しては、そういうサイトを作って紹介するのがいいかなと思います。これが同じようなことをしたいと思っている人と繋がり、定着すれば私の仕事ができたということだろうかと思います。

 

<編集後記>

KU-SGU Student Staff※

国際学類二年 (志貴一内)

粕谷先生にインタビューさせて頂く中で、ご自身の研究分野に関してとても楽しそうにお話して下さったことが印象に残っています。一つの質問に対して様々なお答えを頂くなど、自分に楽しくできることをやるといった先生のお考え通り、楽しみながらとことん突き詰めて研究しておられるのだということが伝わってくるインタビューでした。大学生になった自身の生活を振り返ってみると、楽しくできることがやらないといけないことに押しつぶされていたように思います。これらを今一度見直し、楽しくできることと向き合ってみよという新たな視点を頂いた貴重な機会になりました。

※KU-SGU Student Staff:本学のスーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)を学生目線で推進する学生団体

KU-SGU Student Staff

(2022年6月取材)

  • インタビューの様子:左から志貴、粕谷先生<br />
※インタビューはマスク着用にて実施しました。

    インタビューの様子:左から志貴、粕谷先生
    ※インタビューはマスク着用にて実施しました。

  • フランス国立図書館

    フランス国立図書館

  • スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド フィナーレの様子

    スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド フィナーレの様子

このカテゴリーの他の記事をみる

  • *KU-SGU Student Staffインタビュー企画*
    人間社会研究域 人間科学系 教授
    西本陽一 さん

  • *KU-SGU Student Staffインタビュー企画*
    人間社会研究域 法学系 教授
    堤 敦朗 さん

  • *KU-SGU Student Staffインタビュー企画*
    国際基幹教育院 准教授
    渡辺 敦子 さん

  • *KU-SGU Student Staffインタビュー企画*
    理工研究域生命理工学系 准教授
    黒田 浩介 さん

  • タフツ大学
    International Student and Scholar Advisor, Internatiolnal Center
    ホイットニー・サリバン さん

  • 金沢大学国際基幹教育院外国語教育部門
    特任准教授
    マーク・ハモンド さん

  • タフツ大学
    International Student and Scholar Advisor, Internatiolnal Center
    パトリック・ハイムズ さん

  • タフツ大学
    Office of Student Affairs
    メアリー・マクマホン さん ナンディ・バイノー さん