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*KU-SGU Student Staffインタビュー企画*
人間社会研究域 法学系 教授

堤 敦朗 さん

KU-SGU Student Staffインタビュー企画は、国際経験が豊富な本学教職員、学生等に学生目線でインタビューを行い、インタビュー対象者の経験や考えなどを本学学生等に広く知ってもらうことを目的としています。
第三弾では、人間社会研究域 法学系の堤 敦朗教授にお話を伺いました。

 

―初めに現在研究されている分野について教えて頂きたいです。

現在は障害を持った人々が差別など、どのくらいの困難や人権侵害に直面しているのか、またそれらがメンタルヘルスにどのような影響を与えているのかを、数値で示す研究を国際的に進めています。例えば、知的障害や身体障害をもっている方々が、他者からの差別的な扱いや社会の環境・制度的なバリアが、メンタルヘルスにどのような影響を与えているのかを、海外で調査・研究しています。

―精神保健分野と人権分野の両方をかけ合わせた研究を国際的に行っていらっしゃるのですね。二つの分野に携わられている方は少ないと思うのですが、研究を始められたきっかけはありますか?

確かに、国際的な文脈でメンタルヘルスを研究している人は多くないですね。

国際保健学を専攻していた大学院生だった頃に、バングラディッシュにおいてハンセン病患者のメンタルヘルスと、差別をされているという気持ちの関わりについて研究を行ないました。ハンセン病患者に対するスティグマや尊厳を無視した扱いによって、彼らの「こころ」の健康が脅かされている現状が分かったとき、医学・保健学領域を超えて、周囲の人々がもっとやさしくならないと問題は解決しない、と人権などの分野にも興味を持ちました。

自身が身につけた保健分野に関する知識を持って海外で活躍したいという思いや、困難な環境下にある発展途上国の精神保健分野に携わりたいという思いから、現在の研究を行っています。

―国際的な文脈でメンタルヘルスについて研究している人が少ないというのはとても意外でした。

私がメンタルヘルスについての研究を始めた学生時代に掲げられていたMDGs(※)には、メンタルヘルスに関する項目がありませんでした。紛争や飢餓、難民問題など「生命」に直結する国際問題が発展途上国を中心に多々ある中、心の健康を考えるということは贅沢だといった意見もありました。しかし、年間100万人近くの人々が自殺で亡くなっていること、そのうちの8割から9割の人々が精神疾患に苦しんでいることやUNESCO憲章前文(1946年発案)で「戦争は人の心の中で生まれる」と記述されていることを考えた時、メンタルヘルスは健康や平和を実現するために重要な要素だと私は考えています。

MDGsの後進であるSDGsにメンタルヘルスに関する項目を含める仕事に国連において携わりましたが、その際には数字やエビデンスを単に主張するだけでは通用しませんでした。過去の国際会議における成果文章や人権条約をまとめ、それらを各国の外交団にわかりやすく示す必要がありました。学術と政治・実社会との橋渡しのような仕事です。

※MDGs:ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)

2000年9月に採択された国連ミレニアム宣言を基にまとめられた、開発分野における国際社会共通の目標。SDGs(持続可能な開発目標)の前身。

―自分が大切だと考えていることを、国際社会で実現されたことが本当にすごいと思いました。ご自身のキャリアを考える上で大切にされていたことはありますか?

自身のやりたいことを突き詰めることと、人に揺さぶられることがないようにすることを大切にしていました。大学院生時代は、就職して働いている周りの同級生との間に、学生と社会人という立場の違いが生まれます。生活も全く異なり、自分はこのままでいいのだろうかと考えることもたくさんありました。自身がこうなりたいと思う強いモチベーションを持ってぶれないということが重要です。

―プロフェッショナルになるには強い気持ちが必要なのですね。

そうですね。それはどの分野を突き詰めるのであっても同じように大切なことだと思います。私の分野の場合、先にお話ししたようにロールモデルなどがいませんでしたが、大学院の指導教官はとても厳しい先生でしたが、自由に研究をさせてもらい、またとても助けていただきました。当時に、友人や研究仲間にも背中を支えてもらいました。そのおかげで、これまで自由に研究・仕事を行うことができています。一方で邪道だと他分野から批判を受けたりすることも多々あります。そういった時は、最先端をいくパイオニアは常にこの様な苦労をしているのだ、自分は最先端を突き進んでいるのだと自身を奮い立たせています。

―国連に関するお話がありましたが、小さい頃から国際機関で働きたいと思われていたのですか?

国際機関というよりは、もともと海外にルーツがあるのもあって、海外に関係する仕事に興味はありました。海外のことに興味を持ったきっかけの一つは、イラン・イラク戦争です。当時私はまだ小学生でしたが、テレビのニュースなどを通して初めて戦争の恐怖を身近に感じた出来事でした。その頃、国連では緒方貞子さんをはじめとする日本人職員の方々が働いておられて、漠然と国連で働くことを意識したように思います。本気で国連で働きたいと思ったのは、学生時代のアメリカ旅行がきっかけです。

―そうだったのですね。学生時代にアメリカを旅行されたというお話が気になりました!

大学一年生の夏休みに一ヶ月間半、アメリカへ旅をしました。それまで1円も使わずに貯めてきたお年玉貯金を握りしめての大冒険でした(笑)。ホテルや空港などでのやり取りで自身の英語が伝わらないもどかしさを味わいましたね。何より、現地の人とコミュニケーションとれないのが何より辛かったです。ただ、ネットも携帯もない時代ですから、楽をせず、一人で踏ん張るという経験が良かったです。

その旅で、ニューヨークの国連の本部を訪れた際に内部を見学できるツアーに参加したのですが、そのときに様々な国の職員と英語を使いこなして働いている日本人を見かけました。その姿があまりにも格好良くて、自分も将来絶対ここで働きたい!と感じた当時の感覚を今でも覚えています。

本当に実現されたことがとても素敵ですね。

自分で経験して抱いた思いがその後のモチベーションになりました。当時は海外と言えばアメリカという感じでしたが、現在は旅の選択肢も大幅に増えたと思うので是非旅をしてみてはいかがでしょうか?

―旅の他に学生時代、経験しておいて良かったと感じていらっしゃることはありますか?

英字新聞を読んでいたことも良かった点です。内容も難しく、一面を読むことに一週間程かけていました。語学学習では積み重ねが大切です!

―そうなのですね。反対に、経験しておけば良かったと思われることはありますか?

やはりもう少し勉強しておけば良かったと思っています。私自身、専門分野にこだわりすぎていたように思います。専門分野だけでなく、幅広い分野の学問にもう少し触れておけば良かったです。ようは教養ですね。

また、他大学の学生との交流をしておけば良かったと感じることもありました。大学内では気の合う仲間と集まることが多いのではないでしょうか?しかし、国際社会では、様々な背景を持った人と関わることになります。ですから学生のうちに、心地良いコミュニティーから半歩踏み出して、自身の世界を広げてみる。ちょっと疲れたら心地良いコミュニティーに戻ってきて、また少し踏み出してみる、というように、少しずつで十分ですので、踏み出してみることをお勧めします。もちろん心地良いコミュニティーを大切にすることも重要ですよ!

―「広い視野」と「様々な人との交流」も大切なのですね。学生にお勧めの本があれば教えてください。

アフガニスタンで長年医療支援や灌漑事業に携わった中村哲さんの「ペシャワールにて」という本です。

この本がきっかけで私は中村先生に憧れ、大学を卒業後、手紙を書いて、パキスタンで勉強させてほしいとお願いしました。初めてのラブレターです(笑)。有難いことに受け入れてくださり、約半年間、パキスタンで先生の活動のお手伝いをさせて頂きました。この経験は今の自分の礎になっています。是非読んで下さい。

―ご自身でアプローチされて行動される力が凄いです!行動力の源を教えてください。

若かったということもありますが、やりたいことをやらないという選択肢は自分の中にありませんでした。お腹が空けばご飯を食べるといった考えと同じです。挑戦すること、知らない土地に行くことに関して不安は全くなく、楽しみだという気持ちが勝っていました。そしてそれをみんなが応援してくれました。どんなに危険な地域に行くと言っても、「自分がやりたいと考えていて、その機会が頂けるのであれば行って来なさい」と送り出してくれていた両親の影響もあるのかもしれませんね。挑戦するには、必ず支えが必要です。高校の親友も大学の親友もそして先生たちも「やめておいたほうがいい」という人はいなく、みんな「頑張ってこい!」と送り出してくれた環境に感謝しています。

―最後に、現在の目標や夢を教えてください。

自分が他者の役に立てることがあるのであれば、それを大切にしたいです。研究や教育を通して自分ができることを常に模索しています。そういった積み重ねが何かに繋がることもあるのではないかと考えています。教育の目標は、金大生から国連職員を出すことですね。

【金沢大学研究者情報】

堤 敦朗

 

<編集後記>

KU-SGU Student Staff※

砂子阪将大(人間社会環境研究科M1 ※指導教員:堤敦朗先生)

先生の鋭く、深く、そして優しい視点や思想を形作っているバックグラウンドの一端に触れることができたように思います。

志貴一内(人間社会学域国際学類1年)

今回インタビューをさせていただいた中で、「行動する」ということの大切さを学ぶことができました。自分がやりたいと思ったことを貫くという強い気持ちを持って、失敗を恐れずにチャレンジしていくことが次に繋がるのだと感じました。

※KU-SGU Student Staff:本学のスーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)を学生目線で推進する学生団体

KU-SGU Student Staff

(2021年8月取材)

  • 国連時代の同僚とバルセロナの会議後。<br />
日本人は一人、様々な国籍や宗教の同僚と目標は一つに頑張る。<br />

    国連時代の同僚とバルセロナの会議後。
    日本人は一人、様々な国籍や宗教の同僚と目標は一つに頑張る。

  • ペシャワールにおける難民キャンプの調査の途中にて。

    ペシャワールにおける難民キャンプの調査の途中にて。

  • インタビューの様子:左から志貴、堤先生、砂子阪<br />
※インタビューはマスク着用にて実施しました。

    インタビューの様子:左から志貴、堤先生、砂子阪
    ※インタビューはマスク着用にて実施しました。

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